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十四郎の恋愛白書 1

第9章 No.9


定食屋を出禁になって、はや1週間。
オレは今日も昼飯を食いに屯所の食堂へと向かっていた。

「…ゆきのマヨネーズが食いたい…」

フラフラと危なっかしく歩くオレに、隊士達は道を慌てて空ける。もはや禁断症状だ。

総悟の野郎は、毎日定食屋に通っているようだ。昨日もオレにわざわざ報告してから行きやがった。

ゆきのマヨネーズが食いたい…。
ゆきに、会いたい…。

あぁ、オレはもう末期だ。
ゆきがいねぇと、毎日に覇気がねぇ。生きる気力が出ねぇ。

ゆきに、会いに行こうか。

そう何度も思ったが、その度に『大キライ!』の言葉が頭にリフレインする。

万事屋はどうしただろう。もう定食屋に行ってるのだろうか。

総悟はもうゆきに告白したのだろうか。

ゆきは今、誰が好きなんだろうか。


「あぁ〜!もう‼︎」

オレは頭を掻き毟り、叫んだ。
周りで昼飯を食ってた隊士たちがビクッとする。

「ふ、副長、あの、何か悩んでるんですか?良ければ相談に…」

恐る恐る山崎が声を掛けてきた。

「あぁ⁉︎」

ギロリと睨んでやると「ひぃ!」と飛び退く。

いや待て。
正直、もうオレ一人で悩むのは限界だ。
この際山崎であろうと、相談してみるのもいいかもしれない。
『3人寄れば文殊の知恵』というじゃないか。いや、2人だけど。
今の状況の打開策が見つかるかもしれない。

「山崎、後でオレの部屋に来い。ちょっと話がある」
「ひぇ!は、はひ!」

山崎は舌を噛みながら返事をした。
どんだけビビってんだよ。

オレは食べ終えた食器のトレイを返却口に返すと、食堂を後にした。

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