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十四郎の恋愛白書 1

第8章 No.8


総悟はドSだが、見た目がいいからかなりモテる。
これまでにも、かなりの数の女を取っ替え引っ換えしてきているようだ。

つまり、硬派を気取って、この年まで彼女の一人もいなかったオレとは、場数が違う!

その総悟が本気でゆきを落としにかかってる。

なにコレ。マジでヤバいんじゃね?

いやいや、ゆきは総悟に群がる尻軽女達とは違う。とても思慮深い女だ。きっと総悟のドSの本質を見抜くに違いねぇ。

いや待て、昨日の総悟とゆきの様子を見る限り、ゆきは総悟にメチャ懐柔されてたじゃねぇか!
やはり、いくらゆきといえども、総悟の猫被りは見抜けなかったか?

今日ゆきに、昨日何してたのか聞いてみるか?いやでも、彼氏でもねぇのに聞く権利ねぇよな。
でも気になる…。

うーむ…。

オレはそんな事をつらつらと考えながら、今日も定食屋への道を歩む。

時刻は午前11時。開店時間だ。
今日は午後から、とっつぁんと近藤さんと3人で本庁に出向かないといけねぇ。だから早めに来た。

と、銀色の天パが定食屋の暖簾をくぐって入るのが見えた。

「万事屋! チッ!あの野郎!」

しまった!
万事屋もだった!

オレは慌てて定食屋に入った。

「いらっしゃいませ」

いつものゆきの笑顔。
だかその前にはムカつく銀髪野郎。

「あれぇ? 税金泥棒の多串くん。またサボりですかぁ?」

相変わらず死んだ魚のような目をした野郎は、見下した態度でオレに言った。

「あぁ⁉︎税金払ってねーテメェに言われたかねぇよ!それにサボりじゃねぇ!昼休み中だ!」

オレはズカズカと店内に入ると、いつもの席にドカッと座った。
それは銀髪野郎の1つ空いた隣。

「んだよ!もっと離れて座れよ!」

銀髪野郎は鬱陶しそうにこちらを睨む。

「うるせー!オレはいつもここに座ってんだよ!この席が指定席なんだよ!テメェこそ、離れやがれ!」

本当は別にどの席でも構わないが、コイツの為にいつもの席に座れないのが気に食わねぇ。

「あぁ⁉︎ オレだってなぁ、ここがいつもの席なんだっつーの!」

万事屋も脚を組んでふんぞり返る。

そして目を丸くしてオレたちを見てるゆきに、同時に言った。

「「ゆき!いつもの‼︎」」

お互いにバッと睨み合う。

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