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逢ふことの(裏)~声優さんと一緒~

第30章 恢復


達央さんの家で過ごす時間も増えてきた。

「今日は午後から?」

「そうですけど…達央さんは?」

「俺は、もう少しで出るよ。」

「ゆっくりして行ってもいいけど。」

「いえ。一緒に出ます。」

テーブルの上のコーヒーカップとお皿、フォークを片付ける。

どこに何があるのか聞かなくても分かるようになった。

こんな関係になってから季節も移ろう。

「どこにも行けずに季節が変わっちゃった。」

洗い物をしながら、ポツリと呟けば腰に手を回された。


「どっか行きたかった?」

「そうですねー。海とか?」

「………海…。」

「何で黙るんですか?」

「いや。何でも無い。」

「お前、泳いでるんだろ?」

「うーん。最近は行けてないですよ。」

「運動は、専らジョギングです。」

「焼けちゃうから朝走るの止めようかな…って最近思ってます。」

「達央さんは、ジムですよね?」

「ライブ前だからな。」

うなじに顔を埋められ、ゾクッとする。

「朝からは無理だなぁ。」

クスクス笑う声に睨めば、更に笑われる。

「また、ゆっくりシような?」

背後でグッと伸びをして、大きな欠伸をする気配。

「さて。行くかな。」

急かされるように私も荷物をまとめ、達央さんの後に続いた。
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