第12章 だいすきなひと
転校した当初。
前の学校よりも授業の進みがはやかった所為か、テストで悪い点をとってしまった。
頭が真っ白になった。
普通にやっていても、こんな点数を取ることなんてなかったから。
こんなものを父に見られたら。成績表に書かかれてしまったら。
もう2度と、見向きもしれくれなくなるんじゃないか。
「椎名は何点だった?」
後ろから急に声をかけられる。
完全に思考停止してしまっていた為、反応が遅れてしまったが、咄嗟にテスト用紙をしまった。
「……別にどうだっていいでしょ」
「ごめん、いま見えちまった。椎名でも、そんな点数とるんだな〜。頭良さそうに見えたから」
見られてしまった。
恥ずかしさと、悪い点を取ったという現実を突きつけられたようで、途端に鼻の奥がツンとした。