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戦国時代におちびちゃん達がログインしました

第4章 処遇




首もとを覆って、女性が崩れ落ちるようにゆっくりと、床にしゃがみこむ。

細い指の間から、つうと伝う赤い筋と僅かに歪んだ、愛らしい女性の顔。




騒がしい広間の中で、三成はぼんやりと朝の光景を思い出していた。目の前では自分の主君が膝をついて信長と共にあちこちを這っていたが手伝わなければ、という気持ちが何故だかどうしても出てこなかった。握りしめていた拳にさらに力が込められ、手のひらにくっきりと刻まれた爪痕から血が滴る。



自身のしたことの意味を理解し、茫然と立ちすくむことしかできなかった自分を置いて、彼女は離れの方へと消えてしまった。後から耳元で聞こえた政宗や秀吉の声は限りなく優しかった気がするが、その内容は聞いてはいなかった。




私が、優希さまに傷をつけてしまった。



怖がらせてしまっただろう、どんなに痛かっただろう。いつもにこやかに笑うあの愛らしい顔を、自分のせいで歪めてしまった。激しい後悔の念が胸元で渦巻き、三成を圧迫していた。


いつの間にか手にしていた懐刀の鞘に指をかけ、中身をさらすと、三成はその刃をぼんやりと眺めた。きらりと光る刃の上に、屈折した自分の顔が写っているのが見えた。


まるで泣き出しそうな顔に見えるのはそのせいでしょうか、妙なことに気づいた三成はふっと自嘲気味に笑うとその刃を少しだけ上に持ち上げた。手のなかに収まるその刃の冷たさが妙に心地がよかった。




「はやまっちゃ、だめーーーー!!」


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