第1章 プロローグ
私は、家庭教師。
登校が困難な生徒の自宅で勉強を教えている。
そんな日々を過ごしていてある日のこと。
私の家のポストに、キラキラした封筒が一通入っていた。
「なん、だろ、、、」
開けて読んでみる。
「この度、貴方様はプリンセス候補に選ばれました、、、」
は?
プリンセス?
なんの?
あ、え?
状況がうまく飲み込めない。
えっと、とにかく、候補に選ばれたから、お城に行けばいいと。
そゆことか。
「!」
私は、あることを思い出した。
お城の庭園に、大切な用事があるということ。
絶対行かなくちゃ。
プリンセス候補者が集まる日がやってきた。
「やばい。どうしよ。遅刻しちゃう!」
あわてて、お城へ向かう。
がんばって走ったけど、門はすでにしまっていた。
門のところまで、見に行くと、誰もいないようだ。
そっか、プリンセス候補のひとたちは、もう中にいるのか。
なら、チャンスかも?
私は、門の左側にある緑のツタに覆われた石の壁に目をやった。
「登れちゃうかも。んしょ、、、っと、ここに、足をかけて、あ、ちょ。っと、ちがうかな、っと、」
こんなことをやっていると、入り口から鎧を着た人たちがゾロゾロやってきて、見張りの位置につこうとしている。
「つか、やばい、バレる!」と、心の中で叫んでいたら、
「なにやってんだ?お前」
と、声をかけられた。
「あ」慌てていたら、案内の手紙を下に落としてしまった。
「おまえ、プリンセス候補か?」
「はい、あの、どうしても、中に入りたいんです。」
と言うと、騎士は目を釣り上げて言った。
「遅刻するようなプリンセス候補は、入れられない。お城のおきてだ。」
「そう、ですよね。あの、でも、わたし、」
「ん?」
「どうしても、お城の中庭に入りたいの。大切な用事があって。お願い、入れてください。」
「なんだよ、大事な用事って。」
「それは、」
「言えないのかよ。嘘ついてんのか?」
「いえ、嘘じゃありません。お城の庭に、どうしても行かなくてはならないの。庭を見たら、すぐ帰ります。だから、お願い、入れて。」
騎士は、クスッと笑いながら
私を抱き抱えて、塀をひらりと飛び越えた。
「キャッ」
「静かにしろよ。庭に行ったら、すぐに帰れよ。」
私はお礼を言って、お城の中へ入った。