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大輪の花は刻を越えて咲く【イケメン戦国】

第4章 めぐりあい




「……なめてんじゃねぇぞ、くそ坊主が。」
ぴくり、と僅かに形の良い眉が上がり、口の端が下がるのが見えた。しかし、ただそれだけだった。自らの脅しに対して全くといっていいほど動揺を見せない彼にまたも苛ついていく。乾ききっていた口に広がる苦い唾をごくり、と飲み込むと頭は一気にまくし立てた。


「さっさと失せやがれくそ坊主が!
おめえらがいくら寺で経を唱えたってなぁ、俺らが楽になることはねえんだよ。そればかりか今日の食いもんさえ満足に手に入らねえ有り様なんだよ!」

先の戦のために焼かれてしまった自分の畑が脳裏をかすめた。決して広くはないが、汗水垂らして必死に耕し続けたそこは今、見る影もないのだ。


戦において敵の兵糧を奪い、飢えさせることは有効で自軍の兵の消費を少なく抑える手段として用いられた戦法である。飢えをしのぐために侵入してくる敵に備えて、国境近くの自国の田畑を刈り取り、焼き払うことも珍しくない。

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