• テキストサイズ

大輪の花は刻を越えて咲く【イケメン戦国】

第4章 めぐりあい





硬く、凹凸のある感触を頭(かしら)の指が感じ取った。短刀の柄を探り当てたことに気づいた頭は慎重に、まるで壊れ物に触れるかのようにゆっくりとその柄を握りしめた。



目の前で今もなお、何も言わずにたたずむ男の首筋を、頭は盗み見た。無駄な肉が一切なく、逞しさが感じられるようなそれを見つめて頭は口の端を上げる。上々だ。


上背(うわぜい)があるぶん、飛び掛かって高さを稼ぐ必要があるが問題はないだろう。抱きつくように飛びかかり、慌てふためく相手の首もとを短刀で掻き切る。うなじに覆うように右手を回せば後は楽だ。


深く、早く、確実に。

いつも通りに、やればいい。



すう、と鼻から息を吸い込む。夜の冷気が身体を満たし、感覚を鋭くしていくのを感じる。助走をつけられるように右足をゆっくりと後ろに下げ、そのかかとを浮かせた。柄を握った右手にさらに力を込める。



じゃあな、坊主。

来世とやらで、経でも唱えてろ。







そして


/ 58ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp