第3章 神の率いる百鬼夜行
紫苑の目は今や白目の部分が黒になり、瞳は金色になっている。
紫苑から放たれる畏れが部屋を充満させ、いささか冷たい空気が流れている。
「あーあ。」
「またやってる。」
聖獣組からはそんな声が聞こえる。紫苑の畏れは収まる気配を知らず、不穏な空気が漂う。
「…紫苑。二人も反省してるし。ね?」
リクオが恐る恐る声をかけると、紫苑は一つ瞬きをした。すると、いままでの畏れが無くなり、紫苑の目も元通りになっていた。
氷麗や首無し、青田坊ら鯉伴の頃から使えてる者たちは紫苑のその様子を見て、互いに顔を合わせた。
「今の…」
「あぁ。鯉伴様もあんな眼をしておられた。」
「不思議なもんね。」
「まさか、あの目を継いでおられるとは…」
鳳凰が下がり、風牙と呼ばれた獣が変化し人間姿になる。
「先ほどの無礼をどうかお許しください。私、風牙というものです。風を操る能力を持っておりますれば、鳳凰との仲も悪くあのように喧嘩ばかりを…」
「気にしてないから。…それに、喧嘩するほど仲がいいって言うじゃないか。」
「若!…なんて、優しいお方。」
「風牙。気色悪いわよ。」
「これはこれは、茜様。ご機嫌麗しゅう。」
「やめてよ!こっちこないで!」
再びどたどたと騒ぎが始まり、紫苑は頭を抱えた。
「ごめんね。ほんと。いろいろと…あいつらったら…」