第4章 人命救助訓練とヴィラン連合
「……いいね。黒霧、期せずしてチャンス到来だ」
「……いてて。犬猫山少女、心配ない。大丈夫だ」
ニカッと笑うオールマイト。オールマイトは今、黒霧さんのループで攻撃を逆手に取られ、脳無の攻撃を受けている状態だ。………なるほど。死柄木が夢中になるのも分かる。これは自力で抜け出すことは不可能だろう。これは……死柄木と黒霧さんのコンビネーションがいい方向にいったということか。
「…………」
……ん?何やら視線を感じる。ちらりと上を見ると、死柄木の目がこちらを見ているのが分かった。
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
は?何?何?何?恐怖なんだけど……。死柄木はただ何も言わず私をじっと見ていた。
「………オールマイトォォ!!」
不意に緑谷の声が聞こえ、私はそちらの方を向いた。その時、私の体は宙へと浮き、そして地面に力強く叩きつけられた。
「うっ!」
いきなりの事だった。息がつまり、背中には鈍い痛みがした。
「犬猫山少女!! ………くそっ!!」
「ゴホッゴホッ!!」
「……………」
こいつ……やっぱり私を殺す気だったか。黒霧さんもグルと見ていいだろう。………油断した……
「…………」
ひょいっと再び私は持ち上げられた。その時に、今度は肩の硬い感触がお腹に辺り、正直痛かった。前も後ろも痛い。
「犬猫山を離せぇ!!!! だぁっ!!」
……ん?切島?
私は体を起こし、辺りを見渡した。……なるほど。これは形勢逆転だ。爆豪、切島、そして轟までもがオールマイトの危機に集まったのだ。
「くそっ!! いいとこねぇ!! 犬猫山!!大丈夫か!!」
「あ、うん!! 今のところ……うっ!」
……蛙が潰れたような声が出そうになった。私を担いでいるこいつが強く締めたからだ。一体何がしたいんだよこいつ!!
「離して!! もう殺すなら殺せばいいでしょ!!!! 何?人質? だったら逃げないからおーろーしーてぇぇぇ!!!!」
見苦しいほどバッタバタに暴れまくったが、しっかりと抱えられたままピクリともしない。
「………あいつ結構大丈夫そうだな」
「これが大丈夫そうにみえるなら、切島くんの目は死んで……ぐえっ!」
……今度こそ蛙は潰された。