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松の間

第18章 これでも*おそ松


side.一之瀬

今日はおそ松君とデート
いつもはおそ松君の家に寄ってから、一緒に出かけるけどたまにはってことで、待ち合わせにしてみた

「10分前か・・・おそ松君のことだから遅れてきそう」

左手に嵌めた腕時計を確認する
その視界の端に誰かの足が入ってきた

珍しく早く来たんだ
嬉しくなって顔をあげるとそこには

A「ねぇ、一人?」

見知らぬ男
下卑た笑いをしている

「おそ松君まだかなぁ」

彼氏との待ち合わせをアピールしてみる
こういう人には無意味かもしれないけど

A「そんな男より俺と遊ぼうよ」

やっぱり意味ないか
面倒だなぁ

お「わりぃ、待った?」

「おそ松君!早かったね」

男がいる方とは逆から聞こえた声
待ち侘びていた分、ホッとする

A「おいおい、どこまで無視するつもりだよ」

この人、まだ諦めてなかったんだ
本当に面倒な男

お「一之瀬、知り合い?」

「知らない」

お「じゃ、いっか。どこいく?」

まったく気にしていない様子で手を繋ぎ、歩き出そうとするおそ松君

A「いい加減にしろよ!」

流石に無視が効いたのか、大声を出しておそ松君の肩を掴んだ男

お「・・・はぁ?」

聞いたこと無いほど低い声に、刺すように鋭い視線
ここまで怒るおそ松君は初めて見た

お「俺の彼女に声かけたの見過ごしてやったんだから、大人しくどっか行っとけばいいのに」

おそ松君はパシッと相手の手を払いながら言い、私の肩を軽く押して距離を取る
そのまま片足を下げ、体を捻ったと思ったら

A「ガッ」

一瞬だった
地面を蹴り上げたと思った瞬間に体を翻し、蹴りを繰り出す

それはそれは綺麗な回し蹴り
初めてみた

男は見事に吹き飛び、気を失ったのか動かなくなった

お「もう邪魔すんなよ~。よし、人集まる前にずらかるか」

ほら、と差し出された手を取り2人で駆け出した


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