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松の間

第17章 彼氏のフリ*カラ松


あれからなぜかカラ松君から誘いがあり、何度か遊びに行った

今日もその1日だ
ショッピングモールを回り、少し疲れたので公園のベンチで一休みする
その際、妙な言動は一切ない

そのせいか、私は出掛ける度にドキドキしてしまう
そして、そんな彼が好きなんだと自覚してしまった

だが、もし今の彼が『演じて』いるものであるのなら・・・

カ「一之瀬?どうした?」

「え、ううん。何でもないよ」

悩みの種である彼に言えるわけがない
小さく溜息が漏れた

カ「何でもない奴は溜息をつかないと思うが」

う、こういう時耳ざといと言うか、鋭いんだから

「えと、今のカラ松君って私に合わせてくれているんだよね?」

カ「まぁ、初めはそうだったな」

カラ松君が足を組んだ
そんな仕草も色っぽく見えて鼓動が跳ねる

カ「今一之瀬とこうして出掛けている間は、気分が落ち着くんだ。演じる必要も、強がる必要もないんだって」

演じても強がってもいない
本当のカラ松君・・・そう思っていいのだろうか
それならば

「カラ松君、彼氏のフリじゃなくて・・・彼氏になってください!」

カ「・・・」

あれ、無反応
どうしよう

カ「俺はもうそのつもりだったが、一之瀬は違うのか?」

「え、そうだったの?!」

カ「確かに言葉にしたことはなかったな。俺はずっとお前が好きだったんだ」

組んでいた足を解き、体ごとこちらを向く

カ「だから例えフリでも俺以外が隣に立つのは嫌だったんだ。これからも一之瀬の隣にいたい」

真剣な瞳で告げられる想い
嬉しいと同時に驚きもあり、涙が溢れた

カ「一之瀬、返事は?」

「これからも、隣にいてください」

そう言うと優しく抱き締められた

カ「やっと手に入れた。もう離さないからな」

そのままカラ松君の気が済むまで抱き合っていた



後から聞いた話
私が彼氏のフリを頼む前から、カラ松君は兄弟達に牽制していたらしい

シナリオ通りだと誇らしげに言われたのが悔しくて、その話を聞いた日は口を聞いてあげなかった

その時のオロオロしていたカラ松君が可愛かったっていうのは、私だけの秘密です




-fin-


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