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松の間

第12章 心を*トド松


相も変わらず、放課後に一之瀬ちゃんに会いに行く
と思ったのに、いつもの教室にいない
こんなこと無かったから焦ってしまう

図書室にはいなかった、部活は帰宅部だし
後行きそうな場所が分からない!
とりあえず校舎内をくまなく探してみよう

ガタッ
「や…さわら…で」

理科準備室?確かに何か聞こえたような
ソッと扉に近付き、耳澄ました

「触らないでって言ってるの」

一之瀬ちゃん?!
触るって、え、なに
鍵…は開いてる。少しだけ戸を開けて覗いてみた

そこには、誰かに押し倒されている彼女がいた

A「君が悪いんだ、僕じゃなくて松野なんか」

「トドちゃんの悪口言わないで」

プツン
僕の中で何かが切れた

カシャッ

ト「あ、やだなぁ。音出ちゃったー」

A「誰だ?!」

ト「はーい、噂のトドちゃんでーす」

多分今の僕は、口元は笑っていても目は笑っていない
でも冷静に、手は出しちゃいけない

ト「ね、そこの君さぁ…状況説明してくれる?合意の上?」

A「お前に関係ないだろ!」

イラつくなぁ。拳をギュッと握る

ト「僕の大事な子だから聞いてるの。場合によっては写真と動画、どうなるか分かるよね?」

スマホをちらつかせる

A「このっ」

ト「おっと、そう簡単に取らせるわけないでしょ。そっちがその気なら兄さん達呼ぶけど」

スワイプして電話をかける振りをする

A「チッ、もういい」

分が悪いと分かったのか、そう吐き捨てて走り去った

ト「バーカ」

ベーッと舌を出す
僕に歯向かおうなんて許されるわけないでしょ

ト「一之瀬ちゃん、大丈夫?!」

「トド、ちゃん…トドちゃん!」

僕が部屋に入ってから一言も発していないことが気になっていて近づくと、一之瀬ちゃんは僕に抱きついて泣きじゃくった

ト「怖かったよね、遅くなってごめん」

「ふぅ…うぅ」

とりあえず落ち着けなきゃ
僕も彼女の背に腕を回し、優しく擦る

ト「大丈夫、僕がいるから」

「トドちゃん…ありがとう」

一之瀬ちゃんが泣き止む頃には、日が沈みかけていた
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