• テキストサイズ

松の間

第10章 君の絵*十四松


side.十四松

?「パパ、これパパ?」

僕に抱っこされながら壁にある絵を見て問う小さな女の子

十「そう。ママが描いてくれたんだよ」

娘「ママ上手!」

二人の目線の先には、出会ったあの日に描いてくれた僕の絵
あれから何年経ったっけ
二人で過ごす時間が増えて、一之瀬ちゃんが必死に僕の気持ちに答えてくれた

だから僕は幸せにしなくちゃって
絵を描く手伝いして、画家になる夢を叶えて欲しくて

とあるコンクールで最優秀作品賞を取った時は抱き合って泣いたっけ
あの日の僕を描いた絵で、夢を叶えたんだから

『ありがとう、十四松君がいてくれたからだよ』

そう言ってくれた
だから、この先も君の側にいたくてプロポーズしちゃった
戸惑いながらもちゃんと受け止めてくれた

そこからアレヨアレヨと仕事が増えたり、家族が増えたりとトントン拍子
怖いくらいの幸福

君とこの小さな宝物はどうかな

「ただいまー」

女の子「ママ!おかえりー」

僕の腕から降りて声の主へと駆け寄る
よいしょーって言いながら娘を抱き上げる一之瀬ちゃん

十「おかえり、一之瀬ちゃん」

「ただいま、十四松君」

あぁ、やっぱり幸せだ

「どうしたの?」

十「一之瀬ちゃん、僕幸せだよ、怖いくらい」

「十四松君…私は幸せだけど怖くないよ」

僕を見たあと、娘を撫でながら言う

「好きな仕事をして、好きな人と結ばれて、大切な命を育んで。怖いって言ってる時間なんかないもん」

あぁ、そうだ
彼女は強くて、とても真っ直ぐな人だった

十「そっか、そうだね。まだまだこの大好きが詰まった時間大事にしなきゃね!」

僕は娘ごと一之瀬ちゃんを抱き締める

娘「きゃー、仲良し抱っこ!ギュー」

3人同時に笑い出す

「今度3人の絵を描いて飾ろうか、自画像的なの」

今この瞬間を残しておくために
僕の、僕達の幸せな空間を
そして君の絵を、宝物を
何時までも色褪せないように…



-fin-
/ 72ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp