第10章 ♯9
やれるだけのことはやった。
ネス班長に教えられたことの一言一句を脳内で反芻する。
緊張と興奮で頭が爆発しそうだ。
手綱を握る手の震えが止まらない。
目を閉じて何回か深呼吸をする。
「おい」
周りの喧騒を遮断し、集中を高める。
「おい」
目を開けるとリヴァイ兵長が私の横に居た。
「・・あれ?・・はい?」
「ッチ。腑抜けた声出してんじゃねぇ」
「あっすみません!不覚にもちょっとびびってます」
「・・・それが普通だ。俺はお前らの前方にいる。後ろの異変に気付くのは時間がかかる。何かあったらすぐ俺のところへ来い」
周りに聞こえないように顔を寄せられて、こんな時なのに心臓が煩い。
「それは命令ですか?」
「あぁ。俺はお前を必ず守る」
「私、案外強いですよ?」
「生意気なクソガキが何言ってる」
「ふふふ。ありがとうございます!兵長のお陰でちょっとほぐれました!」
「・・・ならいい。死ぬなよ」
「はい!」