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君が笑う、その時まで

第9章 練習試合


――海常高校・第一体育館。

 誠凛高校バスケ部の一同が即座に眉を顰めた。

 その理由は一目瞭然だった。
 ネットで区切られた反面コートに練習試合のセッティングがされており、もう片面は普通に海常バスケ部が練習として使っていたためだ。

 そこへ止めを刺すかのように、海常高校バスケ部監督がうちは軽い調整だの、試合で学ぶべきことはないだのと御託を並べた。

 新設校で無名に近いバスケットチームと、インターハイ常連校の強豪校。――選手層の厚みや経験量などを考慮すれば両者の実力の差は歴然として存在し、強者に「軽い調整」と見下されてもおかしくはない。

 これで誠凛サイドは海常の監督の意識の低さを認識した。実際カントクさんは青筋が立っていたし、誠凛の雰囲気は殺伐(さつばつ)としている。

「ま。完全に見下されていても仕方ないかもね」

「てかテメェは何でそっちにいるんだよ!!」

 試合前のウォーミングアップで偶然近くにいた火神がつっかかってきた。

「何で、っても…今日は海常のお手伝いをしに来ているわけだし」

 今日の私は誠凛高校の生徒ではなく、海常高校の臨時マネージャーだ。当然、誠凛の肩を持つつもりはない。

「強いチームには強さの理由があるって事を学んできたらどう?少しは頭がよくなるかもしれない……無理そうだけど」

「テメェ……おちょくってんのか?おちょくってんのか!!?」

「火神君うるさいですよ」

 そう言って黒子は火神の脇腹を突いた。
 突然のことに火神は絶叫するほど驚愕し、黒子に気付くや否や肩を掴んで激しく揺さぶった。

「テメェもおちょくってんじゃねぇよ、黒子!!!」

「あははー、面白いッスねー」

 頭上から無邪気な笑い声が降ってきた。見上げれば金髪の人が腹を抱えて笑っていた。

「黄瀬ェッ!テメェも覚えてやがれ」

 黄瀬と呼ばれた彼はくすりと笑った。


「なら早く俺を試合に引きずり出してみろよ。それが無理ならキセキの世代を倒すなんて無理ッスね」
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