• テキストサイズ

君が笑う、その時まで

第5章 衝突 (火神視点)


 激情が一気にたき付けられた。
 一瞬頭が真っ白になって、気が付けばオレはアイツの襟首を掴んでいた。

「ふざけんなっ!バスケ出来ねぇテメェにそんな事言う資格があんのかよ!!」

 収まることを知らない怒りが体の奥から込み上げる。このままぶん殴りたいとすら思えて、俺は咄嗟に拳を振り上げる。
 周囲がざわつく。何だよ、やめろって。

「……その言葉、そのまま君にお返しするよ」

「ッ……!?」

 物怖じするどころか怯むことなく、むしろ不自然なまでに歯を見せて不気味に笑う。
 そんなアイツを前にして俺はその時なぜか腕の力が抜けた。
 その隙を見てアイツは俺の手を外した。襟を直すと、俺に顔を向けることなく入口の方へと歩いていく。

「ッオイ!!」
 我に返り、声を張り上げて呼び止めようとした。
 だがアイツは足を止めるどころか、ひらひらと手を振るだけだった。

「テメェは俺がバスケ出来きてねぇって言うのかよ!!」
 声を張り上げ、思いの丈をおもいっきりぶつけた。

 それでもアイツが振り返ることは無かった。
/ 204ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp