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君が笑う、その時まで

第27章 期待と怠惰のあいだ


◆◇
 時は遡ること1時間半前――

桃「……ダメです。ケータイがつながりません」
 何度も電話をかけていた桃井が諦めたように小さく首を振った。

 集合時間に遅れることはある程度予想がついていたが、これがもし試合が始まっても来ないことになったら……万が一の事を考えれば今から予防策を講じる必要がある。

原「今までのことを考えれば予測のできたことですが、今日は相手が相手なだけに油断できません」

 桐皇学園高校バスケットボール部監督・原澤克徳も参ったように溜め息をこぼす。

原「桃井さんは引き続き青峰君に連絡を取ってみてください。他の皆さんは試合前最後の確認を行います」

 原澤の言葉に誰もが賛同する。
 そこに今吉がすっと手を挙げた。

今「先生。ワシからも連絡とってええですか?」
原「…そうですね。ただし時間はとらないようにしてください」
今「スンマセン」

 へらっと原澤に頭を下げて今吉はケータイを片手に控え室を出ていった。
 
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