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君が笑う、その時まで

第4章 最悪の初対面


◆◇伊織視点
「――お前、強いのか?」

 振り返ると赤髪のダンク少年が睨みつけていた。

 もはや獣の域に達している眼力だ。それはバスケに対する一途さであり、言い換えるなら――

「……君。バスケバカだね」

 羨ましいと思えた。

 しかしそんな思いも一瞬にして掻き消して私は薄ら笑いを唇にはりつけた。


「バスケなんてくだらないね。
 所詮跳ぶことしかできないバスケなんて――だからバスケは嫌いだよ」


「なっ……」




 刹那、雰囲気がそれまでと一転した。

 余裕を見せていた表情が一気に強ばり、同時に嫌悪感の含んだ瞳へと変わっていく。

 目の前の彼だけでは無い。周りから痛いほどの視線を感じた。

 何も言わない。それでも彼らの、私に対する敵がい心がはっきりと伝わってくる。

(これだけ言えばいい加減諦めるか……)

 何も言わなくなったバスケ部に背を向け、そのまま出入り口へ向かう――その途中。



「ふざけんなよテメェっ!!!!」
 
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