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【落乱】花立つ人

第3章 火薬庫内は火気厳禁、の段。



「ほぉ、そうか、それなら仕方ないのぉ…ってならんわ!!」
 一体どういうことじゃ!!と学園長がぷんすかわめくので、伊助はかくかくしかじか…と説明をした。

「顔から火が出るとな…そんなことが本当に起こるのか?」
 学園長をはじめ、爆発の騒ぎに集まってきた他の先生も疑わしげである。
 伊助と平助は土井先生に「やって見せるしかないと思います」と至極まじめな顔で言った。

「実演するって言ったって…」
 どうすればいいのかまったく分からない。
 土井先生は未だにへたり込んだままの椿に手を差し伸べた。
「椿くん。立てるかい?」
「は、はい…」
「「せーの」」と伊助と平助は声を合わせる。

 どんっ!

「わっ?!」
「おぉっ?!」

 勢いよく背中を押され、椿は土井先生にぶつかった。
 突然のことに驚いて土井先生もバランスを崩し、椿は土井先生の上に倒れこんだ。

「いたたた…椿くん、大丈夫か?」
「あっ…」

(やだ…顔が近い! 声が耳元で!! っていうか私、土井先生の上に…!!!!)


 ボンッ!

 再び椿の顔から火が出た。

「「出た!」」
 伊助と平助がハイタッチする。
「うーん…これでは椿くんを火薬委員会の補佐にするのは無理がありますなぁ」
 あんぐりと口を開けている学園長の横で山田先生はため息をつきながらそう言った。

「椿さんは火薬委員会をクビじゃ! 今後火薬庫への立ち入りを一切禁ずる!!!」

 我に返って、学園長は怒鳴りながらツバを飛ばす。

「えっ?! クビ?! そんなぁ…」
(せっかく土井先生の近くにいられると思ったのに…)

 がっくりと肩を落とす椿に土井先生は苦笑する。
「半助! 何を笑っておる! これで火薬庫が吹っ飛ぶのは二度目じゃぞ!」
「そ、そうでした…すみません…」
 杖を振り回しながら怒る学園長に土井先生は平謝りするしかなかった。





 ~おわり~
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