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緋寒桜散り行く日陰。☆Free!

第1章 プロローグ


少年はそう言い放つと
乱暴にアナウンサーにマイクを返した。

そして、唖然としている
人ごみを掻き分け、

走り出す。



私は慌ててその少年の背中を追いかけた。



『お兄ちゃん!!!!』



私のその声に
その少年は足を止めた。


振り返り、追いついた私の頭を優しく撫でた。


「紅葉。僕はお前が羨ましいよ。何にも囚われず、自由に生きられるお前が。…頼む、僕を…自由にしてくれ。」



少年はそういうと
ほんの少しだけ寂しそうに笑い、
また私に背を向けて走り始めた。




それ以降、
その少年の姿を見たものは



誰一人としていなかった。





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