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そうして君に落ちるまで

第2章 ifの願い(コムイ)●












あれからというもの、店に来てペンのメンテナンスやら新しい文具が欲しいやらを言い訳に彼女との談笑するのが自分の癒しになっていた。


兄でも室長でもないこの時間は、ただの自分として彼女と話をできるこの時間はとても楽で、居心地が良い。

だがその日々に一点の曇りができたのはあの日。




「今日は買い物に付き合ってくれない?」

会ってから2週間ほど。もはやただの客と店主の関係ではなくなってきてはいるが、一先ずは友人止まりだ。

それもそれで良いと思っていた。
ふらりと出た先でAKUMAに遭遇するまでは。

突然、何体かのAKUMAが姿を現した。
皆レベル1だが、エクソシストではない自分にはそんな事は関係ない。


それは圧倒的死の啓示。


息がつまる

死ぬのか

こんなところで

こんな簡単に



頭の中にいくつもの考えが浮かんだ。

ホームの人々。妹の笑顔。
隣にいる彼女を守る術すら自分にはない。

スローに見える世界の中で、銃口がこちらへ向く。

目を見開く彼女を腕の中に納めるしかできることはなかった。


ああ、ごめん、ごめんね。



「火判!!!!!!!!」

聞きなれた声を聞くと同時に強い熱を感じる。

「…っ」

彼女を抱く手に思わず力を込める。


じわじわと熱は引いていったところで顔をあげるとオレンジの髪の青年はこちらへへらりと微笑んだ。

「ばーれちゃった。大丈夫か?」

「うん…ありがとう…」



彼は紛れもなくヒーローだった。







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