第32章 中忍試験～第三試験予選～

sideｰカカシｰ

流の試合が終わると、俺はすぐ流を連れて呪印を封印をするための場所に向かった。


「よし、それじゃ流、服脱いでそこに座って。」

苦無を地面に刺し、陣を書いた中心に流を座らせる。


"ザクッ"

俺は、流が服を脱いだことを確認すると、自分の手のひらを苦無で切り、術式を書く為に血を流した。


『先生、すみません。

……手、痛いですよね？』

俺が自分の血で術式を流の身体に書き始めると小さな声が聞こえてきた。

俺はその言葉に驚いて一瞬だが動きを止めた。

（青白い顔して、自分だって辛いだろうに……
またひとの心配か、このこは……。）

「……だ～いじょおぶ！
忍びがこんな傷でいたがる分けないでしょ～よ？」

俺は流が気にしないようにとぼけた返事をする。

「よし！」

ようやく術式が書き終わり、俺は一息つく。


「少しの辛抱だ。すぐ終わる。」

俺はそう言って印を結んだ。
印を結び終え右手を流の背中に置き、術を発動させた。


『ぐっ』

流が苦しそうな声を漏らした。

『うっ…………くぁぁ……ッ!!』

流は相当な痛みだろうが、ほとんど声を出すことなく耐えていた。



「フー……」

ようやく封印が終わり、安堵の息を吐いた。


流は相当疲れたようで、身体が傾いていく。

"トサッ"

軽い音を立てて流が倒れた。

「疲れて当たり前か……」

俺は、呟くと流の横にしゃがみ、汗で張り付いた髪を顔から退けようと手を伸ばした。


"ボフン"


そのとき、流の体から煙が上がり、音がした。
そこには、髪の長くなった流が横たわっていた。

「え？どういう事？」

突然の出来事に俺は戸惑う。
変化の術が解けたのは分かった。

だが、どうして今まで変化していたのかが分からない。

（ってか、女の子だったのネ……）

上着を着ていないせいで見えてしまっている流の上半身に思わず視線を反らした。