第7章 梅雨。
私達は何度も愛し合った。
玄関で
廊下で
リビングで
ベッドで
「つきしまくっ…終電…」
『行かないでっ…梢っ…』
そんなことを言われたら期待してしまう。
好きだと勘違いしてしまう。
『月島くんっ…月島くん!』
「けいだよ…梢…」
『…なま…え……?』
律動が止まり、恐る恐る目を開ければ私を見つめるお月様みたいなきらきらの瞳。
『…けい。』
「うん。」
『…っけい。』
「梢。」
『…蛍っ…蛍っ!』
「動くよ。」
言えない気持ちを押し込んだまま私は初めて月島くんの名前を呼んだ。
「すき」の気持ちを込めて。