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HQ商社 営業3課へようこそ!【HQ】

第7章 梅雨。




かちゃり

ドアを開ければ中からはもわりと熱気が押し寄せてくる。
換気のためにドアを全開にしデスクに戻る。

『灰羽くんどうぞ?』

灰羽くんにはおじさん柄の真っ黒な缶コーヒー。

「ありがとー…」

灰羽くんは私からコーヒーを受け取るとプルタブを開け、一気に飲み干す。



『月島くん?』

「あ、ありがと…」

受け取ろうと伸ばした手が止まった。

「これ…」

『これ、よく飲んでるよね?』

差し出したのはおじさん柄のクリーム色の缶。
休憩中、よくこれを飲んでるのを見かけていたから買ってみたけど…

「よく知ってるね?僕がこれ飲んでるの。」

『あれ?いつもこれじゃない?』

私が不思議がっていると灰羽くんは首をかしげながらポツリと言った。

「月島が飲むのってこれのゴールドじゃないの?」

『うそ…私、間違った…?』

財布を持ち、買い直そうとオフィスを出ようとする。

『買い直してっ「椎名サンっ!」

財布を持つ手を月島くんに掴まれる。
振り返れば少し頬を赤く染めた月島くん。

「こっちの方が…好きだから……ありがと。」

『……え?』

口元を隠しながら月島くんは照れ臭そうに呟いた。

「コーヒー飲めないのって…恥ずかしい….デショ。」

月島くん曰く、苦いのは苦手だけどコーヒー飲めないのを知られるのは恥ずかしい。
だからできるだけ甘いコーヒーを飲んでたけど1人の時はもっと甘めのカフェオレを飲んでいた…ってことらしい。

「だから、こっちの方が好きなの。」

早くちょうだいと言われ、手渡せばポンポンと頭を撫でられる。





「ありがと…」

そう呟いた月島くんは機嫌の悪いしかめ面。
でも、その頬は照れているのか赤く染まっていた。

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