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セックスと、秘め事。

第1章 娼婦




出会いは突然だった。

何が何だかわからないし、急すぎる話だと思う反面、割のいい話だとも思った。

お店に高貴な人が来たというのは、あっという間に店中に広まった。

店でともに働く人たちは皆一様に、紅をつけ、色濃い化粧を施している。
化粧を終えるといそいそと胸の開いた大胆な服を引っ張り出して着替え始める彼女たちを横目に、私は普段着のまま椅子にもたれかかっていた。

バタバタと駆け回る彼女たち。
まるで舞踏会にでも行くのかのような装いに、思わず眉を寄せる。
お祭りのような騒ぎに私も気を引かれ、つい店の入口へと足を進めた。

歩きながらふと、下腹部の痛みを覚える。

昨日は少しやりすぎた。
少し気だるい体を引きずりながらも、別に死にはしないし放っておいても大丈夫だ、と結論付けて足を速める

話題の人物はすぐに分かった。
一目で上級階級の人だとわかるそれを纏った男は、だれかを探すように視線を動かしていたが、不意にそれが私のところで止まった。

「・・・・」

「?」

数秒の間見つめ合うと、彼は真っ直ぐに私の元へと歩いてきた。
どこか気品を感じる彼を前に、私はどこかで見た気がするな、と感じる。

「お前」

「?はい」

なんだろう。
失礼が無いようにと気を付けながらも口を開く私に、彼はいたって冷静な声音で問う。


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