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ねこわん‼︎【HQ】

第30章 夏、避暑にて。



少し早めのチェックインが功を奏して、5時半からの食事。
席に着けば、少しずつ並べられていく和会席の品々。趣向の凝らされた料理たちはこの夏の暑さでも食べやすいようにと見た目から涼しげだ。

卵形の器に盛られた茶碗蒸しの上にきらきらと輝くジュレがとても涼しげで食欲を唆る。
会席に相応しく、華やかに盛られたお刺身や焼き魚、数種類のお野菜を軽く湯通しした牛肉で巻いた肉巻きの綺麗な断面に思わず笑みが溢れた。
料理が並び、注がれる日本酒。さらりとした色味の液体が青いボトルから注がれれば、食事を始めた。

工夫の凝らされた料理は味付けも凝っていて、口に運べば幸せの味がする。一緒に合わせた日本酒も、辛口ではあるけれど控えめな香りとまろやかな口触りで食事を邪魔することなく喉を通る。
リエーフは最初の日本酒を飲み終えれば、他のおすすめのお酒を頼んでいる。そこそこ飲んでいるはずなのだがやはり全く顔に出ないのが毎度すごいと思ってしまう。

デザートは抹茶のあんみつ。添えられたアイスが苦味のある抹茶で、甘い餡の味を引き立てる。夏らしい冷たいデザートに中から冷やされ緩む頬が抑えられない。それはリエーフも同じのようで、アイスを口に入れれば目元が柔らかく細まる。

『リエーフ、おいしいね。』
「これで終わっちゃうのが勿体無いっすね。」

お互い笑みを浮かべながらゆっくりと食事を終えると、お礼を言い食事処を出た。

お風呂も終わり食事も終わり。
この後の行為を止めるものはなく、心臓の鼓動がいつもより早まる。
少し汗ばんだ手に指が絡まると、手の甲を撫でる指が私の欲を刺激していく。

「部屋、帰りましょうね。」

耳元に近づく唇が熱を運べば、その熱は体の中を渦巻いていく。
言葉を返せず頷けば、ゆるりと腰を抱かれて部屋へと戻った。

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