第8章 油断 ※一松
ト「ただいまー」
「ただいま帰りましたーっ」
声をかけるも返事がない。
ト「みんな二階にいるのかもしれないね」
トド松くんと一緒に帰宅すると、居間には誰もいなくてどうやらみんな二階にいるみたい。
ト「荷物、二階に運んでおくね!」
「ありがとう。じゃあ私は夕飯の支度しちゃうね!」
ト「うんっ、お願いします」
トド松くんと別れ、トド松くんは二階へ、私は手を洗いに洗面所へ行った。
ーーーなに作ろうかな・・・あ、卵買うの忘れた!!
夕飯の献立を考えながら手を洗い鏡を見ると、トド松くんがひょっこりこちらを見ていた。
「ビックリした・・・どうしたの?なんかあった?」
手に泡がついたままなので顔だけ振り返ると、トド松くんはにっこり笑って私の隣へきた。
ト「卵、買い忘れちゃったね!」
「あ!私もいまそれ考えてたの!」
ト「ふふっ、僕たち以心伝心だね!」
2人で笑い合う。ーーーなんか、幸せ。
ト「あ、それとねななみちゃん」
急に真面目な顔になり私の耳元へ顔を寄せた。
「な、に?・・・/」
ーーー振り向けば、触れる距離。
少し恥ずかしくて、前を見たまま少しだけ下を向く。
ト「・・・兄さんたちの前では、僕らの関係勘付かれないようにしようねっ」
耳元でコソコソと囁くと、私の頬をツン、とつつき、走って二階へあがっていってしまった。