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術師~Lonely assassin~【R18】

第6章 *過去の傷


『クレス君、さっき街に来た時私が言った言葉に首をかしげてたよね?』


「……?」コクコク



『あの意味はね……この街では、″裏で人間の売買がされている″から、見た目はとても綺麗な街でも少し違う場所から見ると、とても汚くて暗い…最悪な街だって事なの』



街を出る時、そんな話をするとクレス君とても悲しそうな表情で私を見てきた。
子供の彼からすると残酷なのだろう…だが、この世界では当たり前のようになっている。
私のいた街も、見てきた街でも、沢山見てきた。

特に術師は高値でやり取りされるため、狙われやすく常日頃から警戒しておかなければならない。

店が一般とは別にあるのもその為だ。



「……!!」



『ん? どうした、の……』



クイッと服を引っ張られて振り向いた先には、男2人と幼い女の子の歩いていく姿。

薄暗い狭い路地に入っていくのを見て、私はすぐに奴隷商人だと思った。
なぜなら、わざわざ薄暗い路地に入って行く所、幼い女の子に男が2人もついている、決定的だったのは女の子の身なりだ。

ボロく汚れた服に裸足で、首に鉄の首輪があった。


鉄の首輪、それは奴隷の証でありそれと共に体のどこかに焼印が押される。
私にもある…あの経験が…



『クレス君、早く帰ろ?』



思い出したくもない、私は少し早歩きでクレス君の手を引き屋敷に戻った。

嫌な思い出は…心の底に沈めておこう。
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