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【WJ】短編

第10章 【甘】彼はズルイ人/照島遊児


「キスする時とか痛くないの?」


 彼の口の中から覗く、キラキラとしたそれ。舌にピアス穴を開けるなんて恐ろしくて私には絶対出来ない。なんて、思ったと同時に浮かんだ疑問。つい、うっかり口が滑って、別に特に仲がいい友達という訳でもないのに、その疑問を口にしてしまった。私は一体何を言ってるんだ。なんか、今のって、私照島君に興味があるので、キスしたらどうなのか気になりますって言ってるような感じじゃなかったかな?それに、キスはキスでも、私の聞き方だと、ディープキスをした時は痛くないですか?っていう意味だ。なんて思うと、恥ずかしくてたまらなくなった。口にした時は何とも思わなかったのに、言った後に押し寄せてくる後悔と羞恥心。一気に顔に熱が集まってくる。
 そんな私を目の前に、少し考えている様子の照島君は何かを閃いたように突然立ち上がった。そして、私と照島君の距離は0cm。唇に感じる柔らかい感触。そして、彼の舌によって無理矢理こじ開けられた私の口内にスルリと侵入してくる彼の舌。貪るように私の舌を頬張る照島君。腰に手をまわされ、逃げられない。突然の激しく絡み合うキスにくらくらした。
 私の口内からスルリと抜け出した彼の舌と私の舌に銀色の糸。そしてそれはぷつりと切れた。


「どう、痛かった?」


 ニヤリと意地悪な笑みを浮かべ、こっちを見る照島君。その彼の笑顔が眩しかったのと、照島君とキスをしてしまった事が恥ずかしかったのと、その両方の気持ちが混ざりあって、私は思わずその場から逃げ出した。


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