白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
「おぅ、そうするか」
『やった!
約束だよ?
今日こそ二人でゆっくり
ご飯食べようね?』
思考を奪う
浮かれた心のまま
甘えた声を出す
「だな!木兎に捕まらねぇように
ダッシュで帰らねぇとな!」
笑顔の鉄朗に
私の頬も自然に綻んで
お腹いっぱいなのに
今日の晩御飯の事なんか
考えちゃって
ホントばかみたいに
浮かれてた。
もう波乱なんか
一つもないと疑わなかった。
「…姫凪、悪ぃ。
得意先に呼び出しくらったから
先に帰って待っててくれるか?
なるべく早く帰るからさ」
定時より少し前
私の机に来た鉄朗が放った言葉
少し不満を抱きつつ
『分かった
帰る前に連絡入れてね』
昨日の夜から続いてた
幸せで私の心は穏やかだった
「おぅ、なるべく早く
済ませて帰るから」
優しく笑う鉄朗に
湧いた不満はスグに消えて
また雑務に精を出し
鉄朗より早く会社を出て
家の近くのスーパーで
買い物を済ませて帰った