白昼夢第4幕【月桃模様ーさんにんもようー】黒尾✖及川 ®18
第6章 変わるモノ変わらないモノ変われないモノ
「行き先ボタン押してないし
まだ動いてないから
外からボタン押せば開くよね?」
呆れた顔して私達を睨み
「…頑張ったんだね
オメデトウ」
身体を屈めて
私に小さく耳打ち
『及川さん…』
「…お礼の言葉なら聞き飽きたから
要らないよ
他のお礼なら
喜んで貰うけど」
チュッと耳にリップ音を立てて
"なにくれる?"なんて囁いて来る
『な、なにも
あげるものなんか!!』
「本当にー?」
『本当です!
及川さん相変わらず
チャラくて軽くて嫌!!』
距離を取って
警戒を全面に出すけど
「仔猫の威嚇みたいで
可愛い〜
手退いたのミスった?」
怯まず
また距離を詰めて来る
『ミスってません!
近付かないでー!』
グイグイ押し返す手が
「はい、そこまでー
彼氏の前で
戯れないでクダサイ〜」
不機嫌な声と共に
持ち上げられた
しまった…
鉄朗が居たんだ!
それなのに
及川さんのペースに
巻き込まれてるとか
成長ゼロか!