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君を俺だけのものにしたい【Mr.FULLSWING】

第10章 子津の場合


自転車は大通りから裏通りに入り、閑静な住宅街をひた走る。
「あたしに言わせりゃ子津が驚きすぎなんだよ!」
「驚くに決まってるじゃないっすか!」
まさか僕の事を好きでいてくれたなんて思わなかったっすし!
今日1日話さなかったのは恥ずかしかったからなんて思わなかったっすし!
廊下の方をちらちら見てたのは、実は教室から人がいなくならないか見てたなんて思わなかったんすから!
「だからってあんなに大声で驚くことないじゃん!おかげで注目されたし!めっちゃ周りに注意してたのに!」
「僕の普段の驚きっぷりでああなるのは予想しておいて欲しかったっす!」
僕は驚きのあまり悲鳴にも似た声をあげ、当然周囲からの視線を集めた。
「・・・ホントは昼休みに屋上にでも呼び出そうと思ってたんだよ。でも勇気が出なくて放課後になっちゃって、背水の陣であんなことに・・・。」
弱々しく言い訳すると××さん。照れている様子がちょっと可愛い、なんてこっそり思った。

「はぁーあ!」
大きくため息をつくと、××さんは僕の背中に頭を預けた。
「まぁ、監督の噂話をしてたってことで誤魔化せたからいっか。」
「告白も成功したっすしね。」
「何その他人事みたいな言い方?」
「照れ隠しっすよ。」
通りすぎていく風でも下がらない顔の熱を感じながら、僕は目的地に向かって左にハンドルを切った。
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