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【文スト】日向へ連れ出して

第6章 いざ試験へ



日がとっぷり暮れ、辺りが暗くなり、月が昇る頃。
約束の19時まであと少し。
私達は赤レンガ倉庫を後にし、取引場所へと向かっていた。


「い、いよいよなんですね……緊張してきました……」
「大丈夫。こういう麻薬事件の犯人は臆病な奴が多い。だから怪我する様な事は無いよ」
「もし相手が危ない人でもその時は兄様が護って下さるわ。ねぇ兄様」
「勿論。危ないと思ったら直ぐ助けるから」
「はい……!」

二人に背中を押され、先程より緊張が和らいだ。
ぐっと両の手を握り締め、私は胸を張った。


これからの動きはこうだ。
まず私とナオミさん、谷崎さんの二手に分かれる。
谷崎さんが取引相手を装い、犯人に近付く。
谷崎さんが犯人を引きつけている間、私が犯人の背後に近付き捕縛する。
私はギリギリまでナオミさんを守る使命も受け持っているのだ。
ちなみに今日の本当の取引相手は、事前に捕縛済みらしい。


「じゃあ、そろそろ二手に分かれようか」
「はい!」


犯人を挟み撃ちにする為、谷崎さんは反対側の道へと向かった。
静まり返った路地に緊張が走る____。


19時ちょうど。
細い路地から犯人らしき人物が出てきた。

(きた……!)

犯人は深く帽子を被っており、顔は見えない。
犯人は相手を探す様に、キョロキョロと辺りを見回す。
さっと遠くで谷崎さんが動き出すのが見えた。
犯人が振り返り、こちら側に背を向ける。


(今だ……!)
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