第9章 九話
大して驚きもせず微笑む先生。そんな彼女を見下ろして、俺は何故押し倒したのか疑問に思った。少なからずその行動に自分自身驚いた。
「……どうしたの?高木くん。」
相変わらず余裕を見せる先生は手を俺の頰へ寄せた。
温かくて心地よい…。
「…好きにして?」
………好きに…?
今までは求められたらキスして、抱いていた。自分からキスしたいとは言ったこともないし、言う気もなかった。
…なのに今は、自分自身が先生を求めているのが分かる。
何故?
柔らかくてしっとりとした肌に触れたい。
形の良いぷるっとした唇に触れたい。
触れて、感じていたい。
…………。
がっついているようで馬鹿らしい。
でも先生から目が離せなくて、気がつけば吸い寄せられるかのように顔を近づけていた。
兄に人妻とするのもハマると言われたことを思い出す。
…くだらない。とあの時思ったのに…。
馬鹿だな…。
思いっきりドツボにハマってる。人妻というよりかは篠田麗香という女性に…。
お互いに目を閉じて唇を重ね合わせた。
最初から口を開けて舌を絡ませあう口づけ。キスの合間に漏れる先生の吐息にどんどん頭が麻痺してくる。
キスをつづけながら上体を起こして、俺は篠田先生の服を、先生は俺が羽織ったバスローブに手をかけ、脱がした。
露わになった素肌をお互いに弄りあって、そのままリビングでセックスを開始する。
「…麗香さん……。」
名前を呼ぶと満足そうな表情をする先生。
「…いいのよ。二人きりの時は名前で呼んで?」
腰を動かすたびにグチャグチャと結合部から卑猥な音が立てる。
昼間からカーテンを閉め切った部屋で夫がいる女性、学校の保健の先生とする濃厚なセックス。駄目だとはわかってる。一ノ瀬とも駄目なのだから。なのになんでこんなにも気持ちが良いのだろう。一ノ瀬の時とはまるで違う。
腰が止まらない。
一度達してもまだ満足できない。
何度も何度も絶頂を味わった麗香さんの顔は何度も見たのに相変わらず色っぽくて、魅力的だ。
ゾクっとしてもっと見たいと思う。
麗香さんもまだ足りないのか腰をクネクネといやらしいく動かす。
そのサインに俺は応えるかのように腰の動きを早めていった。