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【テニスの王子様】私の王子様【越前リョーマ夢】

第9章 手塚先輩と桜の精



「国光、何か面白いこと言ってた?」

先輩が気を取り直すように問いかける。

「うーん、面白い、ですか?素敵な馴れ初めだと思いましたけど」

「そう?私、初め、あの人に嫌われていると思ってたから少し驚いたのよね」

「聞いた限りでは、べた惚れですけどね」

「なんか、人間じゃないと思ってたんでしょ?」

「「桜の精」」

同時に言って笑い合う。

「先輩が綺麗過ぎるからですよ、それに、桜の下の告白、ちょっと羨ましいです」

「うーん、夢子も、もう1回告白してもらったら?王子様に」

「桜の精がそう言うなら、お願いしてみます」

「良いことあるかもよ」

「楽しみです」

いそいそと手を動かし頑張ってカーディガンを編んでいく。

先輩のセーターのクオリティには及ばないが、初めてにしてはまあまあの出来だと思う。

でもよくよく考えたら、手編みって重いかな…どうしよ、でも今更何も思い付かないし。

手を止めている私を見て織江先輩が微笑む。

「何考えてる?」

「…手編みとか、いきなり重かったかなー…とか…です」

「そう」

特に意見はないみたいだ。

否定も肯定もされないので、とりあえず再び手を動かし始める。

「思いは、重い、のよ」

織江先輩が手元にあった紙に漢字を書いてくれる。

「なるほど、それなら仕方ないですね」

「私はそう思うけど、あとは当人同士の気持ちの問題」

「そうですね…」

微笑むリョーマくんの顔を思い出すと顔が熱を帯びる。

そして、心が温かい気持ちになる。

繋いだ時の、自分より大きな手の感触。

名前を呼ぶ柔らかな声。

私の王子様。
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