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恋ぞつもりて(裏)~声優さんと一緒~

第48章 Final



「私は、お知らせした通り先日入籍致しました。」

「数年前にカレに出会い、色々な事を学びました。」

「そして…愛する人に愛される喜びを知りました。」

「不安なときは、手を引いて歩いてくれる。」

「転んだら差し伸べてくれる温かい手。」

「私に嬉しい事があれば、私以上に喜んでくれる。」

「今度は、そんなカレの力になりたいと思うようになりました。」

「沢山の事を同時に出来ない不器用な私。」

「引退して貴方を支えていきたい。」

「その夢を叶えてくれたカレ。」

そっと左の薬指の指輪に触れる。

「許してくれた事務所の社長、スタッフ。」

「支えてくれた沢山の友人。」

「そして、こうして最後のライブに来てくれた皆さん。」

「ライブビューイング会場にいる皆さん。」

「遠くからライブの成功を祈ってくれる皆さん。」

「本当にありがとうございます。」

「私の周りには素敵な人が沢山居ます。」

「本当に私は恵まれてると思うんです。」

「皆さんがいたから、今の私がいるんです。」

「ありがとうございます。」

「いくら感謝の言葉を述べても、伝えきれない。」

「それがとても悔しいです。」

「本当に本当に、今までありがとうございました。」

「最高の景色を見せてくれてありがとう。」

「素晴らしい声を聴かせてくれてありがとう。」

「一生忘れません…っ」

涙が溢れる。

拭くことなんてしない。

目が真っ赤になっても構わない。

ぐちゃぐちゃになっても良いの。

だって。

これが、今の私なんだもん。

「最後になってしまうのが本当に残念です。」

「名残惜しいですが、ここでお別れです。」

「サヨナラは言いません。」

「ありがとう。」

「この言葉が一番ふさわしい言葉だから。」

手を振ると背後から眩い光が私を包む。

「ありがとう。」

より強くなる真っ白の光。

その中へ歩みを進める。

くるっと向きを変え深々と頭を下げる。

顔を上げて、会場を隅々まで目をこらす。

そして、最後にもう一度今までで一番の声を張り想いを伝える。

「ありがとうございました!」

より強くなる光。

光が広がる。

そして。

バツンと一瞬で照明が落とされ、真っ暗になった。

沢山の拍手と温かい言葉を聞きながら、私は階段を下りた。

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