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恋ぞつもりて(裏)~声優さんと一緒~

第46章 andante


「あやめちゃん。」

「ごめんね。」

小走りに私の元に走り寄る自由。

「ずっと走ってきたの?」

額に浮かぶ汗を手の甲で拭う。

「大丈夫?」

カバンからハンカチを取り出し、首筋を伝う汗を拭き取る。

「走らなくても大丈夫なのに。」

「早くあやめちゃんに会いたかったから。」

そう言って、微笑む自由。

それにしても、態勢が少し変。

「ね?自由。何隠してるの?」

「へ?」

明らかな動揺に、ギロッと睨み隠されている『何か』を覗こうと四苦八苦する。

「ね!何隠してるの?」

「いや…」

「自由!」

「ちょっと…」

「何なの?」

「だから…」

「気になるー!」

「ちょっと!あやめちゃん!」

「ストーップ!心の準備が必要なの!」


やたらと通る大きな声が夕方の公園に谺(こだま)する。

あまりの声に声が出ない。

目を見開いて、自由を見つめるとバツが悪そうに地面を見つめてる。

そして。

大きく息を吸い込み、群青色に染まる空を見つめて吐き出した。

「よし。」

気合いを入れた声に空気が変わるのを実感する。


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