第3章 僕の記憶
僕はなぜ、女子校に通っているのか。
実音はそれを聞かなかった。
アイツなら、気を使ったということもあるだろうが。
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これは、僕が8歳のときのことだった
「千陽くん、泣かないで」
隣の家の女の子が僕に言った。
女の子の家族が遠い都会に引っ越すことになった。
当時の僕は友達がその子しかいなくて
引っ越すことを聞いたときは
さびしくて、哀しかった。
その子は言った。
「私ね、高校生になったら絶対戻ってくるよ‼︎」
「ほんと?」
「うんっ‼︎そしたら、あの高校に入学して、
絶対図書副委員長になる‼︎」
「何で図書副委員長なの?」
「あの高校の図書室にはね、見たこともない
たくさんの面白い本があるんだって‼︎
私が図書副委員長になれば君が図書委員長に
なれるでしょう?
そしたら、また遊べるよ」
「うん!そうする‼︎僕あの高校に行くよ」
「絶対だよ‼︎私も約束するから‼︎」
「うん、絶対。僕も行くよ‼︎」
でも、僕は後から知ることになる。
その高校が女子校であることを。