第12章 観覧車の中で。
ゆっくりとゆっくりと上にのぼっていく観覧車。
「…」
「…」
…会話がないんですけどっ⁉︎
目の前には外の景色を眺めている千陽先輩。
観覧車に乗れたのはいいんだけど、
会話がないんじゃなぁ〜。
…気まずい。
私が悶々としているとき、千陽先輩がついに口を開いた。
「僕は、僕は好きな人が2人いるみたいなんだ」
…はい?
今、なんて⁇
「だ〜か〜ら〜! 僕には好きな人が、2人いるみたいなんだ」
「千陽先輩。めっちゃ気になるんですけど‼︎」
だれなんだろう。
も、もしかして、
『僕は絶世の美女が好きだから、イモみたいなお前とは付き合えない』
とか… ⁉︎
自分で言っても泣けてくる…
「僕は、実音のことが好きなんだ」
…
私
の
こ
と
が
ス
キ
?
私の思考が停止する。
『ミオノコトガスキナンダ』
確かに…そう、言った。
「でも僕は、
小さいころの初恋の女の子のことも好きなんだ。」