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放課後の図書室

第1章 憂鬱な時間


しとしとと雨が降っている。

静かな図書室には、僕ひとりだ。

今日は読書日和。

僕はお気に入りの本を手に取った。

ガラッ

「千陽先輩〜‼︎」

「またお前かよ」

実音はムッとした顔で言った。

「何なんですか‼︎私が図書室に来たらダメなんですか⁉︎」

「あー、だめじゃないっけ?」

「⁉︎ひ、酷いです‼︎」

呆れるほど煩い。

「私、図書副委員長ですよ‼︎
図書副委員長が来なくてどーするんですか‼︎」

「どーもしねーよ」

「あっ!」

「何だよ。」

「漫画を入れてください‼︎」

「…お前、馬鹿?」

「この図書室、なーんか足りないと思ってたんですよ‼︎
漫画だったんですね〜‼︎」

実音はウンウンとひとりでうなずく。

「入れる訳がないだろ」

「ケチ‼︎そんなんじゃ、彼氏できませんよ‼︎」

「いらないし」

「えぇ⁉︎」

いる訳ないだろ。

僕は男だぞ。

僕は男だが、ある理由で女子校に通っている。

彼氏なんて、いる方が怖いだろ…

「せ〜ん〜ぱ〜い〜‼︎」

僕を睨む実音を無視して、本の続きに目を通した。

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