第1章 Sid~極上の女~
「シドですか?
昨日私のところへ報告に来て、
そのあとてっきりプリンセスに
会ったものだと
ばかりおもっていましたが…」
シドと結ばれて数日、
王宮内でも二人は公認の仲となったものの、
シドは相変わらず国王の犬として
忙しくしていた。
せっかく結ばれたのに全然会えない。
アヤセはシトシトと降る雨を窓から見上げながら、
ふぅ…と大きなため息をついた。
何よ…ジルには会うのに私には会わないの?
昨日のうちにまたどこかへ行ったと
別の官僚から聞かされた。
わかっていたことだった。
「これからも俺は国王の犬で
あることに代わりはねぇ。」
だから私のためにここにいて、なんて、
そんなワガママ言えない。
でも…最後に会ってから
もう2週間近くなる…
スマホにも何の連絡も入れてくれない…