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【イケメン王宮】彼たちの物語

第8章 探す彼


(朝霧が気持ちいい…)

早く目が覚めてしまって、
私は明るみを帯びてきた
王宮の庭を散歩していた…

「…っく…ひっく…」

(え?誰か泣いてる…?)

声のする方に歩いて行くと…

「えっ…大丈夫!?」

そこにいたのは小さな男の子だった。

「あ…」

その子が顔を上げる。

(うわ…綺麗な男の子…)

透き通るような青い目の男の子が
私を見上げた。

「ご主人様を探してるんだけど…
見つからないんだ…」

その子は再び泣き出し始めてしまった。

(ご主人様?
こんな小さいのに働いてるの?)

「とりあえず…私も探してあげるから、
一緒に行こう?」

「ほんと…?ありがとう!」

少し微笑むとその子は私の手を握ってきた。

(…!

かわいい…)



「ご主人様は王宮にいるの?」

手を繋ぎながら歩いていく。

「うん…たぶん…
おうちに帰ってこないときは
だいたいここだと思うんだ…」

「そう…
あなたはご主人様のもとで働いてるの?」

「ううん…飼われてるの。」

「…えっ!?」

(…な、なんかそういう性癖の人…?
いや、たぶん違うよね…
言い間違いとかだよね…)

少し戸惑いながら王宮へと歩いていった。

「ご主人様を探しにきて
迷っちゃったの?」

「ううん。
あまりにも寂しくて
夜飛び出して来ちゃったんだ。

だけど庭にたどり着いたら
疲れて急に力が入らなくなっちゃって…」

「そう…

あ…そうだ、これ食べる?」

羽織ってきた
カーディガンのポケットに
キャンディが入っていたのを思い出した。

「えっいいの!?」

男の子は飛びきりの笑顔を見せる。

(かっかわいい…!!)

「う、うん!
私も疲れたときとか落ち込んだとき、
このキャンディを嘗めると元気が出るの。
はい、どうぞ。」

男の子の口にキャンディを入れてあげた。

「おいしい…!!」

目をキラキラさせながら
キャンディを頬張る。

「よかった。」

自然と私も笑顔になる。

(子どもの笑顔って
ほんと幸せになるな…)

「あ…」

「え?」

「このキャンディ、
よくご主人様が嘗めてる味に似てる!
ううん、おんなじ!!」

「え…?」

(あ…もしかして…)

「わかったよ!!
あなたのご主人様の居場所!!」

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