第1章 白色の彼
「はぁ……」
星明かりが綺麗な夜、
アヤセのため息が漏れる。
「ゼノ様に会いたい…」
アヤセは自室のベッドから
夜空を見上げて呟く。
そんな悩ましげな空から目を逸らし、
アヤセはふとんに潜り込もうとする。
バサッバサッ……
「…!」
アヤセは体をガバッと起こす。
(この羽音は……!)
足早にバルコニーに行こうすると、
揺れるカーテンの向こうから
人が現れた。
「……!?」
その人はゼノに
顔立ち、背格好、服装までもが
瓜二つの男の人だった。
「…ゼノ…様…?」
しかし決定的に違うのは、
髪の毛、肌、瞳の色、服の色…
すべてが白かった。
眩しいくらいに…
(こういう人たちがいるって
聞いたことある…
確か…アルビノとか言ったかな…。)
「…これを…。」
その男性が差し出したのは手紙だった。
しかし封筒ではなく、
簡単に折り畳まれた、
メモのような感じだった…。
(これは…)
「では…。」
「えっ!?」
その人は再びカーテンの向こうに
消えて行った。
「ま、待って…!」
慌てて追いかけてバルコニーに出ると、
シュタインの方向に飛んでいく
白い影が見える。
「え…もしかして…。」