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びゅーてぃふる ❦ ふれぐらんす【気象系BL】

第3章 飴玉本舗✡摩訶不思議堂







― ガタンッ ―


玄関のドアの方から何かぶつかった鈍い音がした
お隣りさんか?
いや、うちのドアだな

鍵を開けてドアの外を覗こうとしたけど
あれ? 開かない
何かが引っかかってるみたいだ
強い力でドアを押すと
僅かな隙間から見えたのは、人の足
酔っ払いか? 勘弁してくれよ

出かける予定も無いし、そのうち居なくなるだろうとドアを閉めようとしたその時


「…ゔぅーっ」


微かに聞こえた、呻き声


その声に…聞き覚えがあった




潤…くん…?




「潤くん!」


潤くんだ
このドアの向こう側に潤くんが居る…!

なんとかドアを開けると
スーツにコートを羽織った潤くんが横たわっていた
左手首には、あのシルバーブレス


「潤くん! 潤くん?!」


なんで
どうしてこんな所に潤くんが居るの


「…っ…… 雅紀、さん…?」

「潤くん…!」



「雅紀さんだ… ホントに願いが叶ったんだね…」



願いが、叶った…?











「マンションのポストにね、これが入ってたんだ」


潤くんがスーツのポケットから取り出したのは
見覚えのあるチラシ
色は…緑色だけど


「怪しさ満載だなとは思ったんだけど
『あなたの願いを叶えます』なんて言われたら
どうしたって気になっちゃうでしょ?」

「それで…この飴玉屋に行ったんだ?」

「うん、
ホントは3万円なんだけど、初回に限り1万円でいいって言われて、試しに買ってみたんだ
飴玉を舐めきる前に願い事を心の中で3回唱えてくださいって言われて、」

「潤くんはなんて願ったの?」



「雅紀さんの所に行きたい、って願った」



あぁ、だから俺…潤くんの居た世界に行けなかったんだ
全部が繋がった
伊勢貝さんが俺に『さようなら』って言った意味も…
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