• テキストサイズ

[名探偵コナン]マティーニにお砂糖を

第45章 再会/H様へ


「ほら先輩、自分で歩いてくださいよ!」
「もー無理、マジで無理…。」
「ねえ、もう一軒行かない?僕が全部奢っちゃうから!」
「行きませんよ。飲み足りなければコンビニで缶ビールでも買って部屋で飲んでください。」
「ええーそんなこと言わずにさあ!」


夜食を買いに寄ったコンビニを出たところで、騒がしい声が聞こえてきて通りの向こうに目をやった。
見ると数人の外国人が何やら騒いでいる。
割と大きな声で喋っている上に英語を使っているものだから、雑踏の中でもその会話は耳についた。
絡まれても面倒だ、とその場から急いで立ち去ろうとした時。

「もう歩けないっす、さくらさんタクシー…」
「この辺タクシー流してないんですよね。もうちょっと歩けばホテル着きますんで頑張ってください。」

聞き覚えのある名前に声。思わず顔を上げた。
へべれけに酔っ払った男性を引きずるように駅の方へ向かう女性。

「先輩!着いてこないと置いて行きますよ!?」
振り返ったその顔は数ヶ月前にアメリカへ引っ越してしまった彼女によく似ていて。
声をかけようか悩んでいると徐々にその背中は小さくなっていく。


「部屋飲みなら教授も来るかな?」
「さあ。でも私は行きませんよ。」
「ええ!?なんで!!?」
「明日も朝早いじゃないですか。」

声もかすかに聞こえるだけになったところで、右手に持った携帯が振動して我に返る。
きっと人違いね、と半ば自分に言い聞かせるようにして彼らとは逆方向へ足を向けた。


「もしもし工藤くん?こんな時間に何の用事かしら?」
/ 239ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp