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Blue【気象系BL】

第4章 最後の言葉


手を繋げば、
抱き合えば、
キスをすれば、

ファンの子たちは、
悲鳴をあげて、喜んでくれる。

だから、
ファンサービスのつもりで、
わざとイチャイチャして見せたりしていた。

でも、

潤とは、全くと言っていいほど、
しなかった。

他のメンバーには、肩を組んだり、
頬っぺにちゅーしたりする潤は、

俺には、

触れてこなかった。



でも、
この日、目があった瞬間、
彼の腕が伸びて、

俺を抱き寄せ、
強く抱き締めた。

一瞬驚き、戸惑ったけど、
そこはステージだから、

俺も、それに応えるように、
彼の背中を抱き締めた。


当然、
そのレアなバグは、
会場内に、悲鳴の渦を巻き起こした。



その歓声に掻き消されることなく、
俺の耳に届けられた言葉....



『さよなら』



潤のその言葉に、
俺は胸の奥は、ズクンと音を立てる。


俺は、
そう言って離れようとした彼を、

もう一度、今度は自分から抱き寄せ、
きつく抱き締めてから、


『ありがとう』


と一言だけ、言った。



悲鳴の中、

何事もなかったかのように、
離れていく
俺たち.....



これが、
俺と潤との、
本当の意味での、

惜別だった。


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