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【おそ松さん】哀色ハルジオン

第8章 葛藤





「うちね、庭におっきな花壇があって、いろんな花を育ててるの。ムギワラギクも数年前から育て始めたんだけど、偶然とはいえ役に立ってよかった!」


「おそ松兄さんにはあげてないの?」


「ううん、これを渡したのは今のところイッチーだけだよ。確かにみんな誕生日一緒だけど、あげるタイミングとか思い付かなくて。あ、でもこれはイッチー用だからね!6つ子用ってわけじゃないから!ちゃんと個人的なプレゼント!」


真面目な顔で念押しされ、ますます反応に困る。…いや、嬉しい…けども。


もう一度、ドライフラワーを眺める。ムギワラギク…か。


「お気に召しましたか?一松様」


冗談混じりに尋ねてくる彼女。まるで自分がプレゼントされたかのように嬉しそうににこにこ笑ってる。


そんな顔を見せられたら、毒気も抜けるわけで。


「……ありがと。大切にする」


「!うんっ」


うーわ…自分が自分じゃないみたいだ。きもっちわる。


こいつと一緒にいるとつくづく調子狂うな。なんか話題変えよ。


「…あんたの誕生花って?」


なんとなく気になったので聞いてみると、彼女はさらに嬉しそうな表情をしてカバンについてるキーホルダーを見せてきた。


「これです!」


透明なアクリルキーホルダー…かと思いきや、中には押し花が入っている。これは僕も知ってる花だ。


「ハルジオン?」


「そうだよ!可愛いでしょ?」


男に可愛いかと問われてもな…まぁピンク色だし、女が好きそうなのは分かる。


「ハルジオンも今の時期に咲くキク科の花でね。別名貧乏草とも呼ばれてるんだけどその由来っていうのが


「分かった。分かったから説明はもういい」


話が長くなりそうだったので中断させる。こいつ普段バカっぽいくせに花のことになるとなんでこうも饒舌なんだ。


「あ!それでねイッチー」


「今度はなに」


「花言葉って知ってる?」


…やばい、メルヘン街道まっしぐらだ。もっと違う話題を振ればよかった、というか逃げればよかった。


「…はいはい、知ってるよそれくらい。で、それが?」


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