第10章 憂鬱

「兄さんってさ、鈴のこと意識してるでしょ？」


Σ「ぶふッ！！？」


ああ、だから忠告したのに。せめてアイス口から離しときなよ…


「もー、大丈夫？」


「ごほっ、げほっ…器官に入った…」


「チョロ松兄さんのくせに珍しくアホだね(真顔)」


「その顔やめろ、すっげームカつく…！」






ようやく落ち着きを取り戻し、兄さんが鋭い眼光で僕を睨む。


「あのさぁ…いきなりんなこと聞いてくるとかどういうつもりなわけ？大体、俺が素直に教えるとでも思ってんの？」


「ううん、思ってないよ」


「だったら聞くな」


「正論だけど、そうもいかないんだよね。…だってさ、鈴はおそ松兄さんの彼女なんだよ？好意なんて抱いたところで無駄だって分かりきってることでしょ？」


チョロ松兄さんが言葉を詰まらせる。…僕だって本当は言いたくないんだよ、こんなこと。だってさ、自分にも当てはまるんだから。


「実はね、バーベキューの時…兄さんと鈴がコンビニに行った後、僕がカラ松兄さんと一松兄さんに尾行してって頼んだんだ」


「…そんなことだろうと思ったよ」


「あれ、気付いてたの？」


「いや気付くも何も、立派な人選ミスだからね？あいつら揃って嘘がド下手だしいろいろと不自然だったから。お前かおそ松兄さんが裏で手を引いてるんじゃないかって軽く予想はしてたよ」


人選ミスって…カラ松兄さんと一松兄さん、散々な言われようだな。それにしてもバレてたなんて、その辺はさすがチョロ松兄さんってとこか。


「で？目的は」


「チョロ松兄さんの本性を暴いてやろうと」


「何俺の本性って」


腕組みをしながら、ますます険しい表情になる兄さん。


「だから、まだ分からない？その結果が、さっきの質問に繋がるんだよ」