第8章 猫王子と夏休み
奈央を担いで歩くのにも疲れたため、会場に入ると客席に座る。ちょうど試合が始まるのか、各チームがアップを行っていた。そこであたしは目を疑った。
『あれは…青峰君に…黄瀬君…?』
「そうだよ」
『!?』
頭上から声が降ってきたかと思えば、そこには見慣れた赤があった。ていうか…
『何で不機嫌なの?』
「…僕の予想していた事が当たってしまってね。どうやら君は僕達を引き付ける何かを持っているらしい」
『…は?』
「大輝と涼太。会ったんだろ?」
『うん』
「はキセキの世代が惹かれる何かを持っているようだ。もちろん僕をも惹く力を」
『うん、何それ分かんない。けどとりあえず全力でいらないって事が分かったよ』
「ははは。それでこそだよ。それより川崎はどうした?」
『あぁ…うん、まあ何でもないよ。ちょっとトイレで踏ん張ったr』
奈央「何でやねん!…って、あれ?ここは?」
『気を失っててもツッコめるのが何でやねん!!!!体に染みついてるのか!!凄すぎて気持ち悪い!』
そこまで言うと奈央に殴られた。あの後倒れてあたしがここまで運んできた事を伝えると、もったいないとショックを受けていた。アドレスの事はまだ内緒にしておいた。サプライズの方がいいからね!
「それより川崎」
奈央「あ、うん。分かっとるよ。邪魔モンは退散しようかねー!ほなな」
『は!?ここに赤司と2人でいろと!?そんな殺生な!あたしも奈央と一緒に行くぅぅぅ!』
「川崎には仕事を任せてある。ポチが一緒では邪魔にしかならないだろう。それに…は僕と2人がそんなに嫌か?」
『うん、嫌』
「そうか、嬉しいのか。僕もだよ」
『誰か日本語通訳してください』
こういう時の赤司にはもう何を言っても無駄だという事が分かった。だから深い溜息を最後に、もう何も言わなかった。ちゃんてば大人になったね!